司法書士試験

司法書士試験の刑法の学習において,重要な点は以下の2点です。

 

 

1. 学問としての刑法に入り込まない
2. 学説の学習は最低限にする

 

 

1. 学問としての刑法に入り込まない


刑法は学問の要素が最も強い(学説が最も多い)科目と言っても過言ではありません。
刑罰は強力な国家権力が私人の人権を侵害すること(死刑や懲役など)ですので,学問として永遠に研究を続けなければならない分野と言えます。

 

しかし,司法書士試験では,そのような学問の要素は,不要なものがほとんどです。
「条文・判例・裁判例」を理解するのに必要なものをつまみ食いする程度で結構です。

 

現在の司法書士試験で出題されるのは「条文・判例・裁判例」ですので,行為無価値論と結果無価値論の違いさえ知る必要はありませんし,一貫性を意識する必要もありません。
たとえば,私の講義では,行為無価値論や結果無価値論が何であるかの説明さえしません。知らなくても,答えが出せるからです。

 

「一般予防」や「特別予防」という話は,もっと要りません。

 

 

 

2. 学説の学習は最低限にする


現在の司法書士試験で出題されるのは,「条文・判例・裁判例」です。学説問題は,平成16年度以来出題されていません。よって,条文・判例・裁判例を理解するのに必要である学説を除いて,学説の学習は,過去問で出題されたもののみに留める必要があります。

 

学説の学習よりも重要なことがあります。それは,「判例・裁判例が採っていると考えられる説をきちんと習得すること」です。
たとえば,平成25年度第24問では,因果関係の問題が出題されました。
※過去問を掲載しますが,刑法を学習したことがない方は,サラッとご覧頂く程度で結構です。

 

 

刑法・因果関係

 

 

この問題を解く時に,「因果関係だから」ということで,「条件説」や「相当因果関係説」から考える方がいらっしゃいます。しかし,それは違います。以下の「危険の現実化説」(呼び方は学者によって異なります)で考えるべきです。

 

 

刑法・因果関係・危険の現実化説

(『Realistic Text 刑法』P19より一部抜粋)

 

 

「学説を拾うよりも重要な事がある」という別の例を挙げます。

 

「故意」の中で学習する分野に「事実の錯誤」があります。これを構成要件レベルで扱うか,責任レベルで扱うかは,司法書士試験においてはどうでもよいことです。
この「事実の錯誤」を学習するとき,出題されたことのない「具体的符合説」や「抽象的符合説」を学習するのではなく,判例・通説である法定的符合説を正確に理解する必要があります。

 

 

刑法・法定的符合説

(『Realistic Text 刑法』P22より一部抜粋)

 

 

要は,「法定的(に)符合(してりゃいい)説」ということです。「法定」は,条文(構成要件の範囲内)のことです。上記の例を記憶して下さい。

 

人を殺そうとして人が死ねば(想定していたのとは別の人が死んでも),殺人罪が成立する(殺人罪の故意が認められる)

 

これを使いこなせるようにして下さい。
たとえば,以下の問題(平成7年度第26問)に当てはめることができるでしょうか?

 

 

平成7年度司法書士試験第26問

 

 

問題の冒頭にある考え方が「法定的符合説」です。よって,AではなくBが死にましたが,人(A)を殺そうとして人(B)が死にましたから,殺人罪が成立します(殺人罪の故意が認められます)。

 

 

このように,司法書士試験の刑法の学習において重要なのは,「学問としての刑法に入り込まず」「学説の学習は最低限にし」,「条文・判例・裁判例」の知識を積み上げていくことなのです。

 

 

 

相互リンク先を募集しています。当サイトと相互リンクして頂ける方は,こちらよりご申請下さい。


各種SNSのソーシャルボタンです。当サイトの情報が参考になったという方は,ご使用のSNSのボタンをクリックして頂けると幸いです。

 


刑法関連ページ

不動産登記法
司法書士試験の午後択一で16問,記述で1問出題される不動産登記法の勉強法について記載しています。
民事訴訟法
司法書士試験の午後で5問出題される民事訴訟法の勉強法について記載しています。
憲法
司法書士試験の午前で3問出題される憲法の勉強法について記載しています。